宮本のやつ

ヘラヘラと生きる人のブログ

タイヤサイズと空気圧

タイヤと空気圧についてよくわからない個人的な見解をまとめてみたい所存。なんか簡単な図でも書こうかと思ったが面倒くさいので文字のみでまとめてみたい所存。

 

タイヤサイズは23cと25cが一般的で、同負荷同空気圧では25cの方が転がり抵抗が低いとされる。これについては、よく接地面積が25cの方が小さいから抵抗が小さいと言われるが、これは間違いで接地面積はほぼ等しい。実際には25cの方がタイヤの変形が小さいから抵抗が小さいのだ。

タイヤの転がり抵抗のほとんどは、タイヤの周長方向と断面方向の変形によって決まる。自転車に誰も乗っていないタイヤのエントロピーは最大になり、最も安定した状態にある。この自転車に人が乗ると、接地部分が圧縮され、タイヤが変形する。このときエントロピーは低くなり、タイヤは不安定な状態になる。自転車から人が降りると、エントロピーが最大の状態に戻ろうする。つまり、元の安定した形に戻る。この性質を弾性というのだが、タイヤが何の制約も受けない、つまり完全な弾性のみならばここに損失は存在しない。実際には、ゴムの分子以外の物質がタイヤには存在している。タイヤの変形の過程で、その物質との摩擦により、熱が発生する。ようは変形のエネルギーの一部が熱に変換される。実際に走行している自転車のタイヤは、回転しながら連続的にタイヤを変形させている。つまり、操縦者とバイクの自重以外にも、回転するエネルギーがタイヤの変形に関わってくる。先程述べたように、タイヤが完全にゴムの分子のみならば摩擦は発生せずに、ロス無く変形されるのだが、実際は摩擦により回転するエネルギーの一部が熱に変換されてしまう。これがタイヤの転がり抵抗の正体だ。

変形が大きくなると、より多くの摩擦が発生する。変形が大きくなる要因は主に、重量、速度、空気圧、タイヤの硬さ、そしてタイヤ幅だ。空気圧などの条件が等しい、異なる幅のタイヤの接地面積はほぼ同じなのだが、タイヤ幅が狭いと、周長方向に変形する。幅が広いと、断面方向に変形する。同じ面積ならば周長方向への変形の方がより変形しているので、より多くの摩擦が発生してしまう。タイヤが太い方がより転がると言うことだ。

摩擦によってロスするのなら、当然摩擦そのものを減らそうという試みもある。各社様々なコンパウンドを開発しているのとするも、ゴムとの摩擦を減らしつつ、より大きいグリップを稼ぐためだ。当然、耐パンクベルトやケーシング、ゴムそのものの不純物、更にはチューブまでも摩擦を発生させ、転がり抵抗を増大させる要因になる。コンチネンタルなsupersonicに耐パンクベルトが無かったり、タイヤが薄かったり、ブチルチューブよりラテックスチューブの方が良いと言ったのは、ようはその方が摩擦が少ないということなのだ。

空気圧を上げていくと、タイヤの変形は小さくなり、転がり抵抗も小さくなる。これは間違いないのだが、あくまでタイヤと接地している地面が一切の凹凸のない理想的な地面だったらの話だ。一般的なアスファルトは多少の凹凸が存在する。タイヤは先程述べたように弾性があり、外圧によって変形し、元に戻る性質があるのだが、当然ながら凹凸に対しても、それに追従して変形する。空気圧を高くすることでタイヤの変形を抑えようとすると、この地面の凹凸に追従出来なくなる。そうすると、凹凸に合わせて自転車が振動し、酷いと上下に跳ねるようになる。推進力が振動する力に変換されてしまう。これは明らかなロスだが、それだけでなく摩擦すら増えてしまうのだ。つまり、タイヤの転がり抵抗は、タイヤの摩擦によるロスと、路面によるロスの加算と言うことだ。おかしな話だが、空気圧に比例、反比例しながら転がり抵抗が変化するふたつの系が存在するのだ。グラフにするとわかりやすいが、最も抵抗が小さくなる空気圧は、そのふたつの系が交わった部分だ。当然ながら、路面状況が悪くなればなるほど、より低い空気圧で、路面に追従出来なくなる。路面の状況は刻一刻と変化するので、基本的には、最も路面上京の悪い場所に合わせて空気圧を最適化する。空気圧がその交点を超えると、急激に転がり抵抗が悪くなるからだ。

最初の方に述べた、同条件ならばタイヤ幅が太い方が転がり抵抗は小さいと言うことなのだが、異なるタイヤ幅で転がり抵抗が同一ならば、タイヤ幅が太い方が空気圧は低いと言う事でもある。路面状況が悪いならば、より低い空気圧で低い転がり抵抗の太いタイヤの方が有利と言うことだ。逆に路面状況が良いのならば、細いタイヤで高い空気圧で走れると言うことでもある。つまり、路面状況に合わせてタイヤ幅と空気圧を変えるべきと言うことだ。路面に合わせてそれらをリアルタイムで変更できるシステムが存在しない以上、レースごとにバランスを考えて設定する必要があるのだが、25cが流行しているのは、一般的なアスファルトでは1番バランスの取れたタイヤなのだ。

そしてもう一つ大事なのが、ライダーの重量とタイヤの硬さだ。ライダーが重いと、タイヤは変形するが、同時に変形しやすくもなるので、高い空気圧に設定する。だからと言って、転がり抵抗が小さくなるということは無いのだが、軽い人ならば細いタイヤでも運用が可能になる。タイヤの硬さも、変形に関わる。変形量は空気圧と重量によって決まるが、タイヤの柔らかさはこの変形量にあまり関わらない。だが、変形しやすくはなるので、路面に追従しやすくなる。つまり、高めの空気圧に設定して、転がり抵抗を小さくできる。高価なタイヤのTPIが多いのはこの為であろう。

まとめると、各条件によって最適解は異なるが、一般的な人間が一般的なアスファルトを走る分には23cよりも25cの方が転がり抵抗は低く、アスファルトを走るにはバランスが良いということなのだろう。これが体重の軽い人がヒルクライムするならば、重量減のメリットも含めて23cが最適解ということもある。これでどれだけ速くなるかと言われても、アイアンマンで一分軽減できますとかそういうレベルなのかもしれないが、少なくとも低い空気圧とエアボリュームによる乗り心地の良さは確実に体感できるだろう。